2015年2月15日日曜日

「みちのくの仏像展」

先月末のことになりますが、東京国立博物館で開催中の「みちのくの仏像」展に行ってきました。

東日本大震災からもうすぐ4年。
大きな被害をもたらした東北から仏様たちがはるばる東京までやってきました。
パンフレット表紙は、平安時代の貞観4年(862年)に作られ、完成7年後の貞観地震、東日本大震災と、千年に一度の大地震を二回も経験した岩手・黒石寺の薬師如来坐像。何事にも耐え忍ぶ静かな力強さを感じました。
そして、3月11日の地震でなく4月7日の余震で破損して、二年かけて修復なった宮城・双林寺の薬師如来坐像と二天立像(持国天、増長天)。高台にあったので津波の難をのがれ宮城・給分浜観音堂の十一面観音菩薩立像(観音堂の敷地内は住民の避難場所になったという)。
私の住んでいる横浜も3.11の時はかなり揺れて、その後も大きな余震が何回もあったり、計画停電で街中が真っ暗になったといったことを経験しました、あらためて東日本大震災当時のことを思い浮かべました。

福島・勝常寺の国宝・薬師如来坐像と両脇侍立像には7年ぶりに再開できることができました。
このときは会津若松の東山温泉に一泊して、マイクロバスで会津のお寺を巡る現地のツアーに参加して勝常寺にも参拝してきました。行ったのは7月ですが、会津は夏なのに湿気が少なく、食べるものもどれもおいしく、とてもいい旅行でした。

ほかにも筋骨隆々とした山形・本山慈恩寺の十二神将立像(丑神、寅神、卯神、酉神)、いつも優しいお顔の円空の仏像はじめ、東北各地の代表的な仏像が一同に会しています。
オーディオガイドから流れる薬師丸ひろ子さんの優しい声も展示室の落ち着いた雰囲気にピッタリでした。
「みちのくの仏像」展は4月5日(日)までです。お見逃しなく。


トーハクというと、もう一つの楽しみが常設展示(トーハクでは「総合文化展」)。

本館の館内を歩いてみると伊藤若冲の鶏の屏風があったり、円山応挙のかわいい虎がいたりします(いずれも展示は終わっています)。





東洋館の中国絵画のコーナーもいつも寄るスポットです。
昨年末に上海博物館に行ってきましたが、このコーナーは上海博物館の絵画のコーナーに雰囲気がよく似ています。所蔵の中国絵画も充実しているので、日本に居ながらにして上海に行った気分になれる、お得な場所です。
(上海紀行は近いうちにブログにアップします。ご期待ください)


このあと本館も東洋館も展示替えがありました。トーハクには来週も行く予定です。
17日から展示される本館10室「浮世絵と衣装」コーナーの歌川国芳の「金魚づくし」も楽しみです。
<Y>



2015年2月11日水曜日

鎌倉散歩・肉筆浮世絵と紅梅白梅

会期末が近づいてきたのであわてて鎌倉国宝館で開催中の「氏家浮世絵コレクション設立40周年記念 肉筆浮世絵の美」に行ってきました。

この展覧会は、長年にわたり肉筆浮世絵の蒐集につとめてこられた氏家武雄氏が鎌倉市と協力して設置した公益財団法人「氏家浮世絵コレクション」の設立40周年を記念した開催されたものです。
前期後期あわせて58点展示された作品のうち、今日見ることができたのは後期展示の38点。
その中でも特に北斎の作品が充実していて11点もありました。
中には「八十四老卍」「画狂老人卍」といった落款もあって、北斎80歳前後の作品だったようですが、筆の細やかさに衰えは見られず、それになにより北斎は本当に絵を描くことが好きだったんだな、と実感しました。
それから、北斎のスケッチブック「一枚物各種」に虎が描かれていましたが、まるで応挙の虎のようにかわいかったのが微笑ましかったです。

他にも浮世絵の租といわれた菱川師宣の「桜下遊女と禿図」、下巻に描かれた画中の掛軸の落款が「英一蝶(はなぶさいっちょう)」というユーモアのセンスが出ている奥村政信の「当流遊色絵巻」上下2巻、狩野典信に学んだ鳥文斎栄之の「御殿山花見絵巻」、モノトーンでしぶく描いた鳥橋斎栄里の「御殿山花見絵巻」、などなど、見ごたえ十分です。

広重の「高輪の雪・両国の月・御殿山の花図」の3幅は、風情のある作品で、思わず見とれてしまいました。
そこで今回のおみやげは、3幅のうち「両国の月」(1枚100円の絵はがき)。



会期は次の日曜日(2月15日)までです。
平常展示の「鎌倉の仏像」も見ごたえがあります。
今週末、「鎌倉浮世絵散歩」というのはいかがでしょうか。

鎌倉国宝館のあとは、梅を見に荏柄天神社へ。
境内左側の白梅はまだちらほらでしたが、右側の紅梅はこんもりと咲いていました。
それにさすが学問の神様。
受験シーズンだけに拝殿の両側にはあふれんばかりの絵馬が掛けられていました。
かくいう私も、甥っ子の高校入試合格をお願いしてきました。

夕方家に帰ってきて万歩計を見たら14,017歩。
心地よい疲れの残る、とてもいい休日の午後でした。
<Y>
追記
甥っ子が希望の高校に受かったので、荏柄天神社にお礼参りに行ってきました。どうもありがとうございました。