2014年5月5日月曜日

「栄西と建仁寺」展


 昨日(5月4日)、東京国立博物館で開催されている「栄西と建仁寺」展に行ってきました。
  この展覧会の一押しはなんといっても2008年の秋以来、約5年ぶりに東京に見参した俵屋宗達の「風神雷神図屏風」。



さらにオススメは迫力満点の海北友松「雲龍図」。
この「雲龍図」、左右の龍を両方とも見ることができるのは明日(5月6日)までです。
紹介が遅くてすみません!
 (5月8日からは右側の龍だけの展示になります)



 実は上2枚の写真、「栄西と建仁寺」展に行く前の予習として先月の29日に京都の建仁寺に行ったときに撮ったもので、現在この方丈に入っている襖絵は高精細デジタル複製です。
 本物の襖絵は、昭和初期の大型台風で方丈が倒壊したとき、他の用件で襖をはずしていたため難を逃れ、その後、掛軸に貼りかえられて、現在では京都国立博物館で保存されています。
 今回の展覧会では、その掛軸が展示されています。

 本物は東京に来ていて、複製が京都の建仁寺にあるというややこしい状況ですが、複製とはいっても、やはり実際にお寺さんの中に入っているといい雰囲気を出しています。
 それに写真まで撮らせてくれる建仁寺さんの優しさに感謝!
 本物もいいですが、複製は身近に文化財を楽しむことができるというメリットがあります。
 ということで、建仁寺方丈の他の部屋の写真も撮らせてもらいました。

 
花鳥図


琴棋書画図



 「花鳥図」と「琴棋書画図」はいずれも桃山時代から江戸初期に活躍した海北友松の作品です。
 「竹林七賢図」が見当たりませんでしたが、これは本物も複製も東博に来ていました。


 下の写真は実際の建仁寺方丈の中央の間、室中です。この空間がそっくりそのまま東博に来て、「四頭茶会」の場面が再現されています。
 (「風神雷神図屏風」は東博では別の場所に展示されています)

 右の達磨さんの絵は、元首相の細川護熙さんの筆になるもので、ちょうどこの時、建仁寺では細川さんが描いた水墨画「四季山水図」全24面も展示されていました。それも素晴らしい作品でしたが、絵を見ていたらなんと細川さんご本人がお見えになり、来場されていた方たちと作品をバックに記念写真を撮ったり、作品の解説をされたりしていました。もちろんこちらは作品もご本人も本物でした。
 
 さて複製の方ですが、京都駅を歩いていたらどこかで見たことのある屏風が。
 
 
              

 そうです、現在ではニューヨークのメトロポリタン美術館にある尾形光琳の「八橋図屏風」です。
 2年前に里帰りしたときに根津美術館で見ましたが、海外に渡って普段見ることができない作品を目の前で見ることができるのも高精密複製画のメリットです。
 複製を手掛けたのは、キャノンと特定非営利活動法人 京都文化協会が共同で行っている綴(つづり)プロジェクト。俵屋宗達の「風神雷神図屏風」や海北友松の建仁寺方丈襖絵の複製も綴プロジェクトが制作したものです。お金は相当かかると思いますが、綴プロジェクトさん、これからもがんばってください。
 

 本物と複製が錯綜して話がさらにややこしくなってしまいましたが、「栄西と建仁寺」展は東京国立博物館で5月18日(日)まで開催されています。
 5月18日までは、東博の本館でも尾形光琳の「風神雷神図屏風」を展示しています。見比べてみるのもおもしろいです。
 この作品は東博所蔵のため撮影可なので、下の写真は本物です。
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尾形光琳「風神雷神図屏風」