2018年3月31日土曜日

中国西安紀行(4)西安市内続き

平成28年8月12日(金)西安市内続き
この日の午後は、空海が804年に入唐して密教を学んだ青龍寺へ。

庭園の入口を入ると、

アヒルの群が私たちをお出迎え。

回廊には青龍寺ゆかりの僧たちの線刻画が並んでいる。


上の写真の手前から拡大すると、密教の高僧で、空海の師・恵果と、


空海が向かい合うように並んでいる。

こちらは日中友好を記念して建てられた空海記念碑。


続いて興慶宮公園へ。

ここには前回紹介した阿倍仲麻呂の碑が立っている。
717年に入唐した仲麻呂は、玄宗皇帝に仕え、753年に入唐した遣唐大使・藤原清河とともに帰国する船に乗り込んだ時に詠った和歌があの有名な望郷の歌。

天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも

正面には「阿倍仲麻呂紀念碑」、左側面にはこの和歌が漢字だけで刻まれている。

帰国の途についた仲麻呂は、途中暴風に会い、漂着して唐に帰り、ふたたび唐朝に仕え、770年、長安で没した。


石碑の右側面には、交友のあった李白が仲麻呂の師を悼んで詠った詩が刻まれていて、当時の日本と中国の交流の深さを物語っている。
(次回に続く)

2018年2月26日月曜日

中国西安紀行(3)西安市内

平成28年8月12日(金) 西安市内

西安城壁西門

この日最初に訪れたのは唐の時代の日本と中国との歴史的関係をうかがい知ることができる西安西北大学内の博物館。

やはり唐の都長安と言えば遣唐使。
遣唐使の渡ったルートが示されたパネルや、遣隋使や遣唐使の一覧表が掲示されている。





こちらは井真成の墓誌(上)とその拓本(下)。





墓誌によると、717年に第八次遣唐使の一員として、玄昉、吉備真備、阿倍仲麻呂らと中国に渡り、734年に36歳の若さで中国で亡くなったとされる。
734年に36歳ということは唐にやってきた時は阿倍仲麻呂と同じく弱冠19歳。遣唐使に選ばれるくらいだから相当の秀才だったのだろう。
735年には吉備真備と玄昉が帰国しているので、惜しくもその1年前に亡くなったことになる。いやそれとも阿倍仲麻呂と同じく、時の皇帝・玄宗に気に入られ帰国させてもらえなかったか。

何日もかけて命がけで東シナ海を渡ってきた遣唐使のことを思うと、中国東方航空で成田からわずか5時間でこの地に来て、4日の日程で帰る私たちのことが申し訳ない気持ちになるが、日本に帰国後、その年の10月から八王子の東京富士美術館で始まった「漢字三千年-漢字の歴史と美」でこの墓誌が日本に里帰りしたという記事を新聞で見て、何となくほっとした気分になった。

あっ、鑑真和上像の写真だ!
そう、鑑真は何度も難破しながら来日して奈良の唐招提寺を建立した有名な唐の僧。
やはり西安(長安)は日本とのつながりは深い。


西安は歴史の層が幾重にも積み重なっている。
当時の貴族のお墓からは多くの副葬品が出てくる。
それにしてもこれだけ揃うと壮観。




続いて西安城壁へ。

こちらはホテル近くの長楽門。
こういった城壁が市域をぐるりと取り囲んでいる。


現存する城壁は唐の長安城を基礎に、1370年代にレンガを積み重ねて築かれたもの。
こちらは西安のシンボル、西の城門。シルクロードの起点である。



上に登ると城壁の幅はかなり広い。


全長は13.7㎞、幅は12~14m。レンタサイクルで1周することもできる。


(次回に続く)

2018年1月7日日曜日

台北・國立故宮博物院(2/2)

あけましておめでとうございます。
昨年一年間、ご愛読ありがとうございました。
今年も海外の旅行記や街歩きの記録を掲載していきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。

今回は昨年11月に行った台北・國立故宮博物院の後編を紹介します。

平成29年11月15日(水)

二日目も開館とほぼ同時に故宮博物院に入ったが、それでも国宝級の作品が集まっているだけあってすでにかなりの混雑ぶり。
これからはさらに人が多くなることが想像できたので、とりあえず人気のありそうな王羲之《遠宦帖》(作品番号35)と徽宗《文会図》(作品番号37)を先に見ることにした。


徽宗《文会図》の見どころは、画幅上端両側に徽宗皇帝と、徽宗に仕え、北宋滅亡の原因をつくったとされる宰相・蔡京の題跋が並んでいるところ。
1階の撮影コーナーに展示されている
徽宗《文会図》(複製)


王羲之《遠宦帖》(部分)
1階撮影コーナーのパネルより

この2つの作品の前には特に人が多かった。
台湾の人たちだけでなく、中国の国宝展ということで大陸からも多くの人たちが見に来ていたようであるが、やはり王羲之と徽宗は漢民族の心の拠りどころなのだろうか。

興味深かったのは明や清の時代の画家たちに大きな影響を与えた元末四大家の倪瓚や王蒙の作品の前には人があまりいなかったこと。
おかげで大好きな倪瓚の《江亭山色》(作品番号22)をゆっくりみることができた。
こちらは倪瓚の親友、張雨の描いた《題倪瓚像》(作品番号21)。題賛で張雨は倪瓚について「不真面目で傲慢、一切を好き放題にしている。」と書いている。親友が言うのだから本当なのだろうか。
張雨《題倪瓚図》(部分)
1階撮影コーナーのパネルより

1階の記念撮影コーナーには4点の複製画が展示されていた。
3点はすでに紹介したので、もう1点を。
明四大家の一人、仇英の《秋江待渡》(作品番号31)も空気感があっていい。


1階の撮影コーナーに展示されている
仇英《秋江待渡》(複製)



清初六大家(四王呉惲)の一人、王翬の《夏山烟雨図》(作品番号32)は筆のかすれ感がよかった。

王翬《夏山烟雨図》(部分)
1階撮影コーナーのパネルより


展示作品は前期のみ9点、後期のみ11点、前期後期ともが25点、合計で45点だけ展示であったが、名品ばかりでとても見応えがあった。
今回の「特別展 国宝の誕生-故宮書画精華ー」の展示作品は撮影禁止なので、全部の画像を紹介できないのは残念。
他の作品はぜひとも公式サイトでご覧いただきたい。

http://theme.npm.edu.tw/exh106/treasure/jp/page-2.html#main

特別展以外のコーナーは撮影可だった。
清代の作品で私好みのものがあったので少し紹介したい。

《山水》(作者不明)
李寅《秋山行旅》
さて、そろそろ帰りの飛行機の時間が気になってきた。
名残惜しい故宮博物院を後にして、バスでMRT(地下鉄)の士林駅に向かい、士林駅近くの素食の店「圓通素食」でお昼を食べることにした。



ここは店の中央の台にいくつもの料理が乗っていて、皿に盛り付けて奥のレジで精算する。
お昼時とあって、テーブルはすべて埋まっていたが、出口近くには近くの勤め人とおぼしき男性が一人で座っていたので、相席をお願いした。

ザックを床に置き、料理を皿に盛ってレジに向かったら、その男性がわざわざレジの横に来て、レジの女性が言った金額を英語で教えてくれた。。
台湾に来ると街中でこういった親切な人に出会えるところがうれしい。

これで97台湾ドル(約370円)。ごはんも五穀米なのがうれしい。


故宮で中国名画を見て、台湾素食の店で美味しいお昼を食べて、心も胃袋も満足したところでMRTに乗って松山空港に向かった。

ところで、今回の旅行では、初日の空港で1回、故宮博物院の中で4回、道を聞かれたりして現地の人に中国語で声をかけられた。
もともと自分では南方系の顔をしていると自負しているので、かなり現地になじんでいるな、と嬉しかったが、何しろ中国語が話せないので、全く対応ができず、あいまいな笑みを浮かべてカタコトの中国語で「日本人です。」と言うと、「おおそうか。」と言った感じでみなさん笑いながら離れていった。
相手の方に申し訳ないことをしてしまったと思う。
次は何事もなかったように中国語で返してみたい、と思うのだが、それまでの道のりは長いだろう。せめてカタコトでも、と思い立ち、だいぶ前に買った中国語の入門書を書棚から引っ張り出してきた。
さて、次に行くときはどれだけ話すことができるだろうか。
(「台北・國立故宮博物院」終わり)

前編はこちらです。

台北・國立故宮博物院(1/2)

2017年12月31日日曜日

年末上海紀行2017年(予告編)

年の瀬の上海は輝いていました!

外灘


外灘から見た浦東地区


夜の外灘は人でいっぱい。まるで大晦日のカウントダウンの前のようなにぎわい。
上海は3回目でも、夜の外灘を見るのは今回が初めてでした。
このきらびやかな夜景にただただ驚くばかり。

12月28日(木)から30日(日)にかけて上海に行ってきました。
初日の午後と二日目の午前は上海博物館で大好きな中国絵画をじっくり見て、二日目の午後は郊外の水郷の街。

上海博物館
清の四王呉運のうち四王が勢揃い。

南翔老街


そして最終日の午前は中華芸術宮。
ここの最大の見どころ、「動く『清明上河図』」は帰る時間を忘れてしまいそうなほど。

人物や動物が動くだけでなく、街の賑わいも聞こえてきます。


夜は酒場が大繁盛
もちろん美味しい上海料理を食べたり、行く先々で地元の人たちに親切にしてもらったりしました。

南翔名物「小龍包」


わずか三日間の旅でしたが、内容が盛りだくさんでとても一回では紹介しきれないので、これから何回かに分けて旅の様子をレポートしたいと思います。
(まずは現在連載中の西安紀行と台北故宮の続きをアップしなくては(汗)。)

あらためまして今年一年のご愛読ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
みなさまよいお年を。




2017年11月30日木曜日

台北・國立故宮博物院(1/2)

今月14日から15日にかけて1泊2日で台北・國立故宮博物院に行ってきました。


今回の目的は国宝(國寶)や重要文化財(重要古物)の中国書画が展示される「特別展 国宝の誕生-故宮書画精華-」。

10月4日にはじまったこの特別展の会期は12月25日までですが、前期の終了が11月14日、後期の開始が11月15日なので、2回行かずに1回で前後期とも一気に見てしまおうということで、どうにか仕事をやりくりして平日に休みをとって行ってきました。

「弾丸ツアー」とも言われましたが、エヴァ航空利用で、日本からは横浜からのアクセスのいい羽田空港、そして台北は市内にある松山空港の便だったので、ほとんど国内旅行感覚。「弾丸ツアー」という感覚は全くありませんでした。

エヴァ航空は機内食もこのとおりボリュームたっぷりです。


さて、前置きが長くなりましたが、今回は2日ともほとんど故宮博物院に入りびたりだったので、展示作品を中心に紹介していきたいと思います。なお、特別展に関しては写真撮影不可だったので、実物の画像はありませんが、記念撮影コーナーの複製やパネルから抜粋した画像をできる限り掲載したので、これでご了承ください。


平成29年11月14日(火)

この日は台北・松山空港に着いたのが3時半すぎ。空港から地下鉄を乗り継いで士林駅まで行って、そこからバスで故宮博物院に着いたのが4時半過ぎ。閉館時間が6時半だったので、前期展終了まであと2時間。
とりあえず、前期だけ展示の9点を重点的に見ることにした。
(展示物の紹介は公式サイト内のこちらをご参照ください。)

http://theme.npm.edu.tw/exh106/treasure/jp/page-2.html#main

1階の記念撮影コーナー
1 東晋 王羲之《快雪時春帖》(国宝)
 スーパースター王羲之(303-361)の作品。現地の人たちにも特に人気がありました。
 中央に堂々と書かれた「神」の字が印象的。 

去年、故宮博物院のミュージアムショップで購入した
ミニチュアコレクションの《快雪時春帖》



2 唐人《宮楽図》(国宝)
 女性たちが楽しげに話す話し声や、楽器の音が聞こえてきそうな作品。
 賑やかさをよそに机の下で寝そべる犬に注目。

1階の撮影コーナーに展示されている《宮楽図》(複製)

3 北宋 徽宗《詩帖》(国宝)
 北宋8代皇帝、徽宗(1082-1135 在位1100-1125)作とされる。徽宗が考案した独特の楷書・痩金体が冴えわたっている。


外階段横のパネルより


4 北宋 文同《墨竹》(国宝)
 墨竹を得意とした北宋の文人・文同(1018-1079)の作品。
 墨の濃淡だけで竹の葉の動きを表現した絶品。

1階撮影コーナーのパネルより

5 宋人《秋塘双雁》(国宝)
 実物は画面の両端に雁がいて、中央には余白が。
 この余白の取り方に味がある作品。

1階撮影コーナーのパネルより

6 宋人《千手千眼観世音菩薩》(国宝)
 観音さんの後ろの羽根のように広がっている部分は全部目のついた手です。
 手の数の多さに圧倒される。

1階の撮影コーナーに展示されている《千手千眼観世音菩薩》(複製)

7 大理国 張勝温《画梵像》(国宝)
 大理国(937-1254)は現在の雲南省西部の大理を首都とした国。長い長い巻物に仏教に関わる数百名の人物が描かれてる。達磨大師と、達磨大師の弟子になるため左腕を切断して差し出した慧可大師が並んでいるのを見つけたときはうれしかった。
(上記、博物館公式サイトの展示物紹介の画面で全巻見ることができます。ぜひご覧になってください。)
   
8 元 呉鎮《双松図》
 元末四大家の一人、呉鎮のくねくねうねる松の木が印象的。 

1階撮影コーナーのパネルより
9 元 趙雍《駿馬図》(国宝)
 元初の文人・趙孟頫の次男、趙雍(1291-1361)の作品。馬の目がかわいい。
 
1階撮影コーナーのパネルより

   
閉館ぎりぎりまでいたが、最後まで混雑してたので、この日まで展示の作品を見るので精一杯だった。それでもやり遂げた満足感を感じながら台北故宮をあとにした。

夕食はすっかりおなじみになったMRT士林駅近くの「静心素食」。
お店の人にお願いすれば日本語メニューも出してくれる。

これだけのボリュームで120台湾ドル(約500円)

心も胃も満足して、ホテルの部屋に戻ってシャワーを浴びたあとに台湾ビールでほっと一息。


(次回に続く)